2011年11月06日

松本人志のコント MHK 第1号、感想。

まさかのレギュラー放送であります。

何で「まさかの」とか言うのかと言えば、前回のパイロット版の視聴率がそんなに良くなかったから。

でもでも、考えてみれば民放ではなく、国営放送なわけだし、視聴率とはあまり無関係に、質の高いものを放送しようと思えば、この結果はそんなに驚くべきものではないのかも知れない。


そんな訳で、放送をひどく楽しみにしていたのだけど、ふいに出かける事になってしまい、しかも録画を忘れるという大失態。

仕方がないので出先でお願いして視聴させてもらったので、日記に感想書くに当たり、内容忘れちゃいけねえと食い入るように観ていたので、周囲からは異様に映っていたかも知れません。

「嗚呼、この人は松ちゃんが相当好きなんだろうなぁ」みたいに。

まぁ、大体あってますけどね。


それではさっそく『松本人志のコント MHK 第1号』を振り返っていきましょう。

今回視聴して全体を観て感じたのは、より『空飛ぶモンティパイソン』感が強まったように思えた事。

これは間にNHKらしい影絵を挟んでいる事に起因しているのですが、NHKでコントをやる事、という事に対して松本さんはかなりこだわっているように感じました。その事が同じく島国の国営テレビで放送された『モンティ・パイソン』っぽさを生み出しているというのが、観ていて非常に興味深かったです。

これはあくまでも、印象の話で、どちらがいいとか、パクりであるとか、古いとか、そういう意味合いで言っているのではありませんので、あしからず(そもそも松ちゃんはインタビューで『モンティ・パイソン』を観たことがないと過去に語っており、また、意匠についてはNHKのスタッフによるところも大きいような気がします)。


【オンリー】

記念すべきレギュラー放送1本目のコントは、約10年ぶりとなる、ダウンタウンのコント。これには本当に驚きました。
ビジュアルバムを制作していた時、その2作目『親切』に、「いきなりダイヤモンド」というコントがあるのですが、噂ではこの時期松本さんと浜田さんが不仲で(←要確認)、今田さんとのコンビで撮られたものがあるのですが、今田さんも本当に相当すさまじくうまいのですが、やっぱり松ちゃんはこれを浜田さんとの想定で作ってるんじゃないのかなー、って、凄く思えたんですね。10年以上経っても未だ思ってるぐらいvv それだけ、このダウンタウンというコンビには、意味があるんですよね。
1本目に浜田さんを持ってきた事のうまさ、計算、どれをとってもやっぱり凄いなって思っちゃいます。先ず話題性は十分だし、そして何より、意図的な笑い声を排したコント番組を制作する中で、ツッコミ力の低い視聴者を笑いに誘導する最高の導き役になってる。松本人志は笑いの神様の声が聞こえて、浜田雅功はその声を人間に伝える神官の役割がある、とは過去にこの二人を評価して良く言われた言葉ですが、まさにそう。最初にこういうものを持ってくるあたり、パパになった松本さんの計らいを感じました。
内容としては、不条理に撮らなくてもいういようなオンリーを要求される浜田さんと演出の掛け合いを見せるシンプルなもので、『一人ごっつ』のコーナー『出世させよう』に浜ちゃんがつっこんでいくようなテイストで、面白かったです。
また、NHKの番組で「商品名を言わせる」という事にスポットを当てているところにも一歩踏み込んで言及しておきます。民放とは違う制約がある中で、ギリギリのラインを提供しているのではないかと思うのは、少し言いすぎでしょうか。
これは単純に、面白かったです。おそらく、笑った人も多かったんじゃないのかな。


【メイの冒険】

まさかの影絵。NHKっぽい中で、明らかにNHKらしからぬ展開で進むストーリーがシュール。メイはすぐもどします。


【名探偵 三河安城シリーズ】

何かが松ちゃんのツボだったのか、名古屋弁の探偵が活躍するコント。ちなみに三河安城は愛知県に実在する地名です。
あき竹城、六平直政、保阪尚希、パンツェッタ・ジローラモ、友近など、名のある出演者を出しながら、彼らには一言しか台詞を与えず、結局かぶりもののゴリラが犯人であったという、キャスティングが豪華なだけで後はおざなりでご都合主義だったりするような推理物をパロディにしたようなコント。最後の独白もそれっぽく撮られていて、不覚にもまったく予想していなかった『オリに入れんと急行』で吹き出してしまった(もちろん、元ネタはオリエント急行ですよね)。
ちなみにポワロの『オリエント急行の殺人』はNHKでも時々再放送されています。
……今思うと三河安城は学生服に眼鏡……コナン君のパロディだったのかな?vv



放送時間が25分と短い事もあり、本当にあっという間でした。

世代的な要因もあるのだけど、僕は本気で面白かったし、楽しかったです。

今から5回分全部収録したDVDの発売を心待ちにしちゃうぐらい。
しかし本当に! 録画を忘れるなんて! 不覚!!!!

次からはちゃんと録画予約忘れないようにしますね。


最後に、パイロット版の感想、以前やっていたブログはもう消えているので、以下に全文採録しておきます。

興味のある方は、良かったらどうぞ。


あー、毎月第一土曜日が楽しみ!





【特別収録 松本人志のMHK パイロット版 感想 6.2%、の巻。】


去る10月15日、『お笑い芸人』松本人志のテレビでは約9年ぶりとなったコント番組がNHKで放送された。

タイトルは『松本人志のコント MHK』。

昨今のNHKは『ブラタモリ』等のキラーコンテンツを平気で放り込んでくる、ある意味で目の離せない国営放送な訳だけど、今回の放送の枠組み自体、他局のバラエティにはない感じがして興味深かった。

イギリスの国営放送BBCはお笑い、コメディファンなら周知の通り『モンティ・パイソンズ・フライング・サーカス』を始め世界でもトップクラスのコメディ番組が放送されている、類稀な『国営放送局』だ。

今回の『MHK』は、そのBBCのコメディ番組制作に近いところを感じた。

あちらの番組は全4回の続編物コメディ番組を1年かけて、しかも結構な予算を使って作る等、かなり贅沢なのだが、後日放送された『仕事の流儀』を観るに『MHK』もそれに近い作られ方をしているようだ。

充分な準備期間、セットや画からも充分に感じる予算。

それらを駆使して『MHK』は作られた。


松本人志のファンの一人として、そういう特別な番組であるという事、それから、映画を2本撮った経験を得た彼の作る始めての本格コントであること。

否が応でも、僕の期待は高まった。


そして観て、僕は実際、とても楽しかった。

だがそれと同時に、これを面白いと思えない人も多いだろうな、とも感じた。

その辺の事も含め、各スケッチで感じた事を書いてみたい。


「ダイナミックアドベンチャーポータブル」

観てる側のツッコミ度を試される一作。
視聴者の多くは「どこがおもしろいの?」だったかも知れないと予想。
かなり前からだけど、テレビのバラエティは説明過多になりすぎていて、「ここが笑うところですよ」と教えるがために笑いを足したり、テロップが出たりする為、ひたすらぼんやり見る事ができるのだけど、本作はそうしたバラエティとは質が異なる。
例えば横に浜ちゃんがいて、
「お前わからんで買ったのか!」
とかツッコミがあれば印象はまるで変わるだろうけど、何となくこれでふるい落してるような気がしない訳でもない。
オチを最後まで決めなかった、というのは実際のところ彼の笑いは設定やその中で起こる松本さんのリアクションやハイセンスなつぶやきが肝でもあるので、重要視してなかったからだと思う。『仕事の流儀』ではそこを勘違いして、それを「悩む姿勢」から「アドリブ(天才的閃き)」という演出にしていたけど。
ただ、そこを取っ払っても、「顎が痛い」っていうのは素晴らしい。意図せぬお届け物が届いて、テンションが上がってから下降していくその姿は岡本喜八監督の『江分利満氏の優雅な生活』的な、悲喜劇である。
僕はこれが一番好き。


「つぶやけ! アーカイブス」

裏のテーマとして「NHKでコントを作るなら?」というのは確実にあったと思う。その分かりやすい部分がこのNHKアーカイブス映像を使用したブリッジ的なやつと次の『ビUFO』なんだけど、そっちはそっちで解説。
これは言ってみれば松ちゃんの『写真で一言』を映像でやったもの。一番の違いは、写真単体だとそれが真面目である為、一言の落差が激しくなるため笑いが強くなるが、今回は映像自体に「面白さ」がありすぎ、つぶやきが生かされていなかった。
映像を選んだのが松ちゃんだとしたら、これはミスだったかも。


「大改造!! 劇的ビUFOアフター」

NHKのコントで「何かやってやろう」という心意気があるとして、常にパロディされる側であったはずのNHKが民法のパロディをやる、という非常に徳の高いコント。
パロディは元に忠実であればあるほど面白く、毒も見えてくる。
たかだか家を建てただけ、それも自分の金で、なのに最後泣く、という、突然気が付くと急におかしくなってくる某番組の偽善を暴き立てているような内容。
腰が悪く、風呂場でよろめいたおばあさんがライトセーバーでズタズタに切り刻まれる姿が目に浮かぶよう(だってUFOなんだぜ?)。
「ぽっこり空洞なのかよ!」「動力なんだよ!」ツッコミ出したら限がないのは、コントセットの異様な力のかけかたも大きい。『火星』『土星』と書かれた提灯の雄姿に噴き出して笑った。


「わたしは幽霊を見た!」

他のどの感情も、笑いに転化できる。また、そうした別の感情から生まれる笑いの方が、松ちゃんにとって徳の高いものなのだろう。
『恐怖』すら笑いに代える方法論は素晴らしいが、徳が高すぎて怖がりの僕は『恐怖』の感情がやや勝ってしまった。


「答辞」

タイトル自体『倒置』にちょっとかかってる。
「逆」にとりつかれた学生の卒業生答辞の総て。
これを観ている時、下にテロップが流れてきて、「え?! もう終わり?」と思った。時間の経つのが速く感じる作品は、決まっていいもの。
逆に、良かった。
おそらくこの作品は「逆に」や「逆切れ」という松本氏自身が使う事によって広まった言葉を、テレビを観た多くの人間が使いやすいから使っている、その徳の低さを憂いてのネタではないかと。
そういうところが彼は抜群に良い。


単体のコントについてはこんな感じ。

全体を総合的に観て、NHKでやる松本人志のコント、という感じの出る構成だったと思います。

ビジュアルバムの『いきなりダイヤモンド』を浜ちゃんとのコンビで観たかった、と思っている僕は、次はダウンタウンで、とも思うんだけど、きっと結構難しいよね。

年に1回ぐらいずつこういうのはやらないと、9年ぶりだったり、初見でこれを見せられると、意味不明(見方の分からない)の視聴者は多かったと思うので、是非、続けてやってほしいものです。


たとえ視聴率が6.2%だったとしても。


posted by きょうきりん at 15:21| Comment(2) | 京希の沙汰日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
とおりすがりです。
MHKレギュラー第一弾、面白かったですね!

ちなみに、雑誌のVISUALBUMの特集かなにかで読んだインタビューでは、『いきなりダイアモンド』は浜田さんを相手役として作られたコントだったのですが、浜田さんの主演ドラマのスケジュールがどうしても被ってしまって、コント撮影直前(前日くらい?)に今田さんの代打になったそうですよ。

直前の代打だったのに、あれだけやれた今田さんもすごい、といったようなことを関係者が言っていました。


しかし、『すごいツッコミの才能の相方を見つけた』というコントを、実際の相方を相手にしてネタを作る松本さんって・・・と思いました(笑
Posted by NOE at 2011年11月08日 13:24
NOEさん。

コメントありがとうございます!
視聴率も良くないわ、悪い感想ばかりネットでは目立つわで、内心穏やかじゃなかったのですけど(笑)、素敵なコメントもらえて嬉しいです!

ああ! ドラマが原因だったんですね!!
何かそれを聞いて安心しましたvv

水道橋博士さんがツイッターで今田さんが前日か、とにかく急に言われて、呼び出されて、その場で台本を覚えてやったって言うのをつぶやかれていて、今田さんのスキルの高さに驚いてしまいました。


確かに!
それがコンビ愛ってやつなのかも知れませんね!!vv
Posted by 高橋京希 at 2011年11月08日 13:54
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