2015年12月21日

キョウキが訊く 第4回 祝!『オトギーク』1周年!! 天才トイ・アーティスト、Zineenさんインタビュー! 1周年に何を語るのか!?


久しぶりの『キョウキが訊く』は『オトギーク』シール他、多方面で活躍中のZineenさんが登場! 1周年を迎えたシールクリエイターとしての活動、そしてこれから……天才Zineenかく語りき! 今回も根掘り葉掘り、微に入り細に入り「直接!」訊いちゃいますよ〜。


<訊かれる人>
Zineen
80年代風オリジナルTOYを素材から開発しハンドメイドで制作販売する稀代の駄玩具作家。子供から大人まで楽しめるようにと80年代と同価格にできるよう努力中!
 ⇒ Zineen公式サイト
 ⇒ Zineen公式Twitter
 ⇒ Zineen公式インスタグラム

<訊く人>
キョウキ・カンバーバッチ
オマケシールやカード等「好きなことを好きなだけ」をコンセプトに綴られる『キョウキの沙汰とは思えないblog』管理人。シールスクライバー(探究者)としてシール研究を続ける傍ら近年では『ステッカー帝国の復讐』を発表。オマケカルチャーの楽しいコレクションを普及すべく活動中。異世界からのミラクルなパワーを受信する男。
 ⇒ キョウキ・カンバーバッチTwitter
 ⇒ キョウキ・カンバーバッチインスタグラム

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キョウキ・カンバーバッチ(以下、キ)「皆さんどうもこんばんは! ご無沙汰しておりましたが『キョウキが訊く』のお時間でございます。今回のゲストは祝! 1周年という事でZineenさん、2回目の登場でございます! どうぞ今日はよろしくお願い致します!!」

Zineen(以下、Z)「よろしくお願いします」

キ「先ずはシール作家生活1周年おめでとうございます! 率直に現在のご感想をお聞かせください」

Z「ありがとうございます。なんとか試行錯誤しつつも作り続ける事ができてよかったです」

キ「1年続けるって凄い事ですよね。1年前と現在で、状況や生活スタイル等で変わった事はありますか?」

Z「『シール作家』という新しい職業を確立できたということですかね。今後はシール以外も作っていくので『駄玩具作家』など新たなカテゴリーに属されていくと思います。まぁ呼び名は何でもよいのですが、1年を経過して前途に光明を見いだせたのは大きな進歩ですね」

キ「2015年も後半になると、段々と『駄玩具作家』としての活動が増えてきてますよね。なるほど〜、大きな一歩の年となった訳ですね。さて、さっそくですが最初に『オトギーク』の事をお聞かせください」

Z「はい」

キ「この1年間の中で『オトギーク』シールは第7弾まで発売されました。私も当然、全弾楽しく購入させていただいております。最初の頃に比べて、ストーリーよりもキャラクターがフューチャーされる事が多くなっているように感じるんですね。それは1年間かけてZineenさんの絵の上達が関連しているのではないか? 或いは、おそらくこの1年間、相当80年代の絵・文化をインプットされたのではないかと思いますので、そのアウトプットの成果として絵に表れているのではないかと感じているのですが、ご自身ではその辺はいかがお考えですか?」

Z「絵柄に関しては、すでに『オトギーク』含め1000キャラクター以上の下書きを描きあげているので弾数が進むにつれ上達は見られるかもしれませんよね」

キ「1000キャラクタ! やなせたかしみたいですね(笑)。絵柄について、他にございますか?」

Z「そうですね。下絵のサイズが段々と大きくなっていったのも関係していると思います。4弾までは、サイズが5cm〜6cmぐらいというシールサイズの大きさで描いた下絵が多かったのですが、全てアナログ作業なためサイズが小さいと細かい模様や細部が描けないんですよ。太いマジックも使えないので人物線を細いマジックで何度も塗り重ねて太くしてましたからね」

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※第2弾の鉛筆下書きとシール。かなり小さく描いていることがわかる。

Z「そこで5〜6弾では17cm〜20cmと拡大して太いマジックで描いてみたんです。すると線の太さは均一にはなるのですが、今度は線の強弱がシールサイズにしたさい失われてしまいました」

キ「あ〜、わかります。ありますよね」

Z「色々悩んでいたら80年代の原画はシールの2〜3倍サイズで描かれていたという記述が目に止まりまして、7弾からは10cm〜15cmサイズにする事で落ち着きました」

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※第7弾の鉛筆下書きとシール。かなり大きく、また鉛筆の消し後から何度も描き直した苦労がうかがえる。

Z「確かにこのサイズだと太いマジックと細いマジックを使い分けて描くしかないんですよ。全部の線を太いマジックで描くと線が潰れるし、かといって細いマジックで太い線を描かなくてもよいし。ちなみにキャラクター線を太くするのにも理由がありまして、シールを印刷するさいに白インクがはみ出る確率が低くなるのです。これデジタルなら、あまり気にしないでよいのかもしれませんが、アナログのハンドメイドで作成しているので、線の太さや素材や色味などによって、作り方をいちいち変えないといけない。下書きも鉛筆なのですが、消しゴムで消したら前の状態には戻せないわけですよ。マジックでペン入れするさいは、間違えたら終わりですから。一発勝負です。修正液を使うと原稿が汚れるので、失敗したら最初から描き直すことも多い」

キ「一発勝負。アナログ時代は総てそうだったって言うのが凄いですよね。勿論、それを再現してるZineenさんもですが」

Z「今は80年代当時の手法を再確認する目的でアナログ環境にこだわっているだけで、ある程度オマージュが完成したら、デジタル環境の作品にもチャレンジはしてみたいと考えてはいます」

キ「あ、そうなんですか?」

Z「はい。描くのが楽かどうかという点よりも、アナログとデジタルで作品の持ち味が変わるとしたら、どう違うのか? を体感して使い分けたいという目的意識が強いでしょうね。やはりアナログの雰囲気はアナログにしか出せないし、デジタルの雰囲気はデジタルでしか出せないと思いますから」

キ「アナログとデジタルが融合する部分の面白さもありそうですよね」

Z「80年代の絵・文化もインプットというか当時のモノを見直したりは意識的にしていますよ。あまり物を捨てないタイプなので、探せば80年代当時の資料がまだまだありそうですし(笑)」

キ「そういう、何と言いますかイメージの蓄積の中にある80年代の線を守るように描いている、という状況もあるのでしょうか?」

Z「鉛筆で絵を描くブランクが数十年間ぶりですから、タッチ自体が固まってないはずなんですよ。だから違うラインナップの作品は違うタッチで描くようにはしてますね。『オトギーク』と、『ゾンボール』と、『パチギーク』ではタッチが異なりますし」

キ「一口に80年代って言ってもいろんな絵柄がありますもんね」

Z「そうですね。それから『オトギーク』に関していえば、第7弾は第1弾のタッチになるようにと、意識して戻しています」

キ「え? そうなんですか??(と言って手持ちのシールを確認するキョウキ)あ! そう言われてみればそうかも!!」

Z「色の塗り方なども4〜6弾はハイライトの付け方を変えたのですが、7弾からは戻しましたね」

キ「うぉ〜? こりゃまたどうして??」

Z「シールも試作品作ってからしばらく放置して気になると、また配色やり直したりするんです。絵柄を描き直す事もあり、そういう『寝かす作業』をして様子見ないといけないんですよ。勿論、それでいて作業スピードが早めになるように調整しています」

キ「寝かす作業!」

Z「『寝かす作業』が大切なのは絵柄のタッチが変わるボーダーラインを客観視したいのもあるわけで、例えば漫画の第一話と最終話でキャラクターのタッチが違うなんて事、よくありますよね?」

キ「ありますね。別の作者? みたいな」

Z「最初の洗練されてない絵が好きな場合もある訳で、必ずしも絵の上達が良い事とも言い切れない。第一話の絵柄で最終話も描けて、逆に最終話の絵柄で第一話も描き直す事ができればよいですが、それも難しいので『寝かす作業』で客観性を忘れないようにしているわけです」

キ「おー、もうね、僕我ながら質問大正解ですよ(笑。やっぱりそういうところ考えて制作されてますよね、これね」

Z「無論、80年代ぽさがなくなると意味がないので、そういう雰囲気を残しつつ新しい表現方法ができるように気をつけてはいます」

キ「なるほど唸っちゃうなぁ〜。『オトギーク』ではこれまでヘッドキャラがパワーアップする事はありましたが、第7弾では過去弾のノーマルキャラが進化をしてますね。『ビックリマン』で言うところの天使シールが神帝になり、ヘッドになる、というような広がりが出てきました。既に30弾以上の構想が完成しているとの事ですが、このタイミングでのノーマル進化は、Zineenさんの事だからやっぱり全体を通してのあり方を計算して出されているんですよね?」

Z「計算しています。一応オマージュなので、『表現方法のポイント』はおさえているつもりです。例えばヘッドキャラが落ちぶれてノーマルで登場したり、因子や世代交代みたいな要素は入れてますね」

キ「勿論8弾以降も?」

Z「はい。それだけではなく、30弾以降は『スーパービックリマン』『ビックリマン2000』のようにマルチバース的な続編手法も取り入れていく予定なため、第一銀河編、第二銀河編など、銀河によって世界観を分類する予定です」

キ「うわ、それって凄い事ですね。30弾から『オトギーク』とサイズの少し大きい『スーパーオトギーク』に分かれたり?? その展開は予想してなかったなぁ〜」

Z「最終的には、そのマルチバース宇宙が繋がるように考えてますが、この宇宙的なストーリーも実際のドキュメンタリーやノンフィクションなどの資料を参考にしています。現実に起こっている出来事などを非現実世界に落とし込み物語を構成するのは『オトギーク』に限らず今後発表する他作品にも共通してやっていきますから。それは自分の作品における譲れないポイントなので」

キ「僕も今、コツコツと1枚1枚シール作ってますが、その辺のさじ加減って凄く難しいですよね。例えばですけど、悪魔キャラに『原子力』や『津波』を入れていいのか、って言う問題があるんです。『ステッカー帝国の復讐』に登場する使徒と呼ばれる改造人間は膨大なパワーを持っていて、ほとんど災害に近い。それを入れたいと思うのは、勿論これまでの僕の体験がベースになっている訳ですが、今それを安易に取り込むと、批判したいのか? っていう非常にくだらない部分に押し込まれちゃいそうで、嫌なんです。だからこれからの『オトギーク』が如何に今の時代、80年代とは明らかに違う"今"をシールにどう盛り込んでいくのか、非常に楽しみです。ちょっと脱線しましたね。え〜っと、今のところ魚のキャラが多いですよね。ストーリー的な部分もあるのでしょうが、描きやすかったりネタが浮かびやすかったりする事があるんでしょうか?」

Z「ストーリーとして7弾は3弾の続きなので偶然そう感じるだけかと思いますよ。基本的なルールとしてダジャレでノーマルキャラクターを作らないといけないのと、弾によって世界観の縛りがあるんですね。3弾、7弾は海の世界観だから魚が多く、4、8弾は森の世界観だから果物や植物や動物のダジャレが多いと」

キ「そう言われればそうですね。僕が魚のキャラを気に入ってるのもあるかな(笑」

Z「まだまだ先ですが、忍者縛りのダジャレや、政治縛りのダジャレで作ったキャラクターも後半では登場します」

キ「それは楽しみです! でもそういうキャラって作りにくそうww アイディアの面でも特に。描きやすいものってあったりするんですか?」

Z「描きやすいのは、妖怪みたいなキャラですね。逆にロボットや乗り物は物心ついてから描いた記憶がないので苦手です。『オトギーク』ではじめて描いたと思います。ここらへんは練習とか研究が必要でしょうね」

キ「機械って、ウソが書けないじゃないですか。ただの記号でそれっぽく描いても、直感的にこれじゃ動かないだろう! って悟られちゃう。リアリティが全くなくなるんですよね」

Z「最近『大河原邦男展』に行ったのですが、全て計算されてロボットや乗り物が描かれてるんですよ。70年代の『ゴワッパー5』や『タイムボカン』みたいな単純なフォルムのロボットや乗り物から、80年代のガンダムや、ボトムズも、どういう原理で動いて、また変形や合体も立体化(商品化)したときに、どうなるかまで計算してある」

キ「(ブラジャーを頭に乗せて)タイムボカン! やってる場合か! いや、ほんと凄い事ですよね」

Z「そういうの見るとモチベ上がりますよね。ロボットで新作シール作りたくてしかたないですから。ただ自分の技術が追いついてないのでまだまだ先になるでしょうけど(笑。でも良いモノを見るとアイディア浮かびまくりますから、すぐに影響受けてしまいます」

キ「分かります、分かります。クラシックな所謂『絵画』、それに『宗教画』みたいなものまでこの世には凄いものたくさんありますものね。そういった事を逐一インプットされていくから、Zineenさんの作品は、Zineenさんの『今』が詰まってる、という訳なんですね。さて、次は『今』ではなく『これから』。第8弾以降の『オトギーク』シールの見どころを教えてください」

Z「勧善懲悪の話に見えますが、実は少し複雑なストーリーだったりします。ライフワークにしようと思ってるシリーズなため、かなりの長丁場です。30弾までは【第一銀河編】で、それ以降の【第五銀河編】まで、漠然ですが構想していて、最後に宇宙の謎(マルチバース)が繋がるようにしていくつもりです」

キ「壮大ですね〜!」

Z「80年代のシールも、勧善懲悪に見えて実は善悪の概念が曖昧だったり深い気づきみたいな要素が盛り込まれた物語だったりする事が多いですよね」

キ「はい」

Z「必ずしもハッピーエンドでなかったり、そもそも打ち切りで物語が完結しないシールも多かったですが、個々では愛らしいキャラクターも、全体を通してみたら複雑に絡み合って意味深なメッセージが込められていたりする。僕が、シールやカードなど駄玩具文化に魅せられるのは、そういう部分にあるので、自分が作るのもそこら辺は意識していくつもりです」

キ「楽しみにしています。ほんとライフワーク、大変でしょうが期待しています」

Z「長いと思われるかもしれませんが、当時のビックリマンシールと同じ弾数で同じサイクル間で発表していますから、80年代のシール文化が、どのような感じだったのかも追体験してもらいたいのです。今後『オトギーク』以外のシリーズもリリースしていきますが、とりあえず第一銀河編30弾までは下書きはできてますので多分打ち切りにはなりません」

キ「それは嬉しいですね! 僕のブログの読者の方にも今『オトギーク』だけを集めてます、っていう方がいらっしゃるんですよ。多分そういったZineenさんの想いを汲み取っているからだと思うんですよ」

Z「ありがとうございます。実は第1弾の頃から決めていましたが、時間ができたら本も作る予定です。実際の出来事をどう物語に構成しているのかとか、オマージュの元ネタが何かなど、シール裏書き三行だけではわかりにくいですから」

キ「期待しています! 絶対買います(笑」

Z「そして最後は擬似ではない本物のホログラムをハンドメイドで作りたいと考えています」

キ「え、ぇえーーーーッ!? 驚き桃の木シーモンキー!! そんな事が可能なんですか?!」

Z「かなり大変ですが……」

キ「凄いアイディアがたくさんまだまだあるんですね! すげえや! この人すげえや!!(笑) アイディアと言えば、『オトギーク』の5弾から7弾には『秘密の鍵』がついて来ました。一体何に使うのだろう? と思っていたのですが、『1周年記念作品』完全受注シール&フィギュアに必要なものでした。こちらもとても素敵な、Zineenさんらしい企画だなと思ったんです。反響も大きかったのではないでしょうか?」

Z「そうですね。おかげさまで設備投資もできましたし。実は、amazonだと代理店通している関係で誰が購入したかわからないので『秘密の暗号』を用意したという事なんです」

キ「あ、なるほどそういう」

Z「今後はオリジナルショップでも商品販売しますので、購入した作品によって個別に特別な品を贈るというサプライズ駄玩具なども考えています」

キ「ぉお!」

Z「まだ実験的な試みですが、とりあえず1周年記念作品購入者にはクリスマスシールをサンタさんから無料プレゼントされるという企画を進行中です」

キ「Zineenサンタだ! そう言えば、面白かったのは『1周年記念作品』のサイトです。楽天などの通販サイトのパロディですよね? アレ着想はどういったところだったのでしょう?」

Z「これは前から考えていまして、ダイエット商品などの広告を、駄玩具商品に置きかえたらどういう流れの文章になるのかなと。80年代にはネット広告など存在していませんから。そういう意味では、販売手法にもデジタルとアナログの融合を試して見たというわけです」

キ「ちょっと風刺っぽい気持ちもありますよね、あれね。そこがまた良かった。エスプリありますよね。あっ、エスプリ=フランス語という事で強引ですが(笑)、1周年の中には『フランス版オトギークシール』もありました。そもそもフランスのルーブル美術館に『オトギーク』が展示されていた、という話に驚愕しているんですが、これは一体どういう経緯でそういう事になったのでしょう?」

Z「もともと2016年にアメリカで大規模な展示会がありまして、そこに原画展を出したいなと考えていたんです。それで情報を調べていたのですが、その時に偶然フランスでも出展できる募集を見つけまして、海外での反応が知りたくて出してみたところ、審査を通過しまして、フランスで作品も完売したという感じです」

キ「フランス人が『オトギーク』シール持ってるんですよ! 皆さんこれどうです? 何か嬉しくないですか?(笑」

Z「ですが、自分の中における海外展開は2016年のアメリカにおける原画展とグッズ販売がメインだったりします。まだ作品が出来ていないので詳細は伏せますが、これは『オトギーク』とは違う新作を予定していて、かなり直感的に社会性のある駄玩具をリリースするつもりです。アメリカ販売が先になりますので、日本リリースはまだ先になりますね」

キ「前回のインタビューでも話されていましたが、そういったトイカルチャーはアメリカが本場な部分もあるので、是非挑戦してほしいですね。凄く楽しみです。もう来年ぐらいには、インタビューとかも気軽に受けてくれなくなっちゃうぐらい、遠い存在になっていたりして(笑)。さて、80年代風トイアートとZineenさんの作品は称されていますが、現在、2015年自体の流れについてどうお考えですか? 自分は、今の状況は『ネオ80年代』とでも呼ぶべき、80年代に目配せしつつも現代的な感性でリミックスされた新しい文化体系にある、と感じています。Zineenさんのご活動もそうですし、『トリリオンスターライツ』さんなんかも最たるものです。80年代を一つのキーワードにしつつも、そこには新しいものがある。これは反対に言えば、現在の流れは80年代とは別物である、とも言えると思うのです」

Z「リバイバルブームって定期的にはきてますが、80年代はバブルなわりにモノは進展してない時代と感じるのです。TVもブラウン管だし、インターネットも携帯電話も普及してないし。金余りの状態で、大人世界が株や不動産だけ値上がりしていく中、子供世界にとっては駄玩具のボーナスステージみたいな時代だったわけです」

キ「確かにそうですね」

Z「何が凄いって道にシールやらゴム人形やらがバンバン落ちてましたから。キラシールだけでなく、ホログラムシールも落ちてましたし。トランスフォーマーですら落ちてましたよ。あらゆる菓子にオマケが付属し、街に安価なガチャガチャがあふれてた。これ僕らより年上世代だとディスコにボディコンパンチラねーちゃん見に通う世代で駄玩具に興味ないし、年下世代は駄玩具がすでにヴィンテージ化しているから当時の値段で買う体験すらできないわけですよ。ましてや拾ってコレクションするなんて信じられないでしょう(笑)」

キ「凄い時代でしたよね」

Z「80年代バブル時代は東京23区の土地の値段でアメリカ全州が購入できたと言われていて、ならSF的な発想ですが日本がアメリカを買った世界を想像したら今の時代はどうなっていたのかなと」

キ「映画『ブレードランナー(82年)』の世界からは、アジア圏の文化にアメリカが飲みこまれている近未来世界の様子が見て取れますよね。それが当時のアメリカ人の恐怖でもあった」

Z「そうでしたね。そういう考え方をすると例えば、『天外魔境』でいうと外国から見た違う世界観の日本だったり、アメコミの『ウォッチメン』でいうと、冷戦問題をヒーローが終わらすとこうなるみたいな独自解釈で展開できるわけです。僕がやろうとしている事は80年代の駄玩具ボーナスステージが現在もまだ続いていたらどうなるのか? というSFを現実化させる企画であり、だから売り方にもこだわりがある。疑似体験と現実体験の狭間というかバーチャルリアルティみたいな感覚を提供したいわけですが、今の時代だとデジタルとアナログの融合は可能ですし、自分より下の世代はデジタルしかしらないわけですから逆にアナログ的な発想は新鮮に感じるかもしれません。僕なんかも、60年代〜70年代はリアルタイム世代ではないですが、再放送アニメや古本などで当時の状況を知り感銘を受けたわけですから、80年代駄玩具ブームのリアルタイム世代が非リアルタイム世代に向けて情報発信して新たな世界観が生まれることもありえますよね」

キ「確かにそうですね。個人的な話で申し訳ないのですが、僕の現在の研究対象は、今のシール文化が中心で、80年代のシールは敢えて封印しているところがあるんですね。ところが先日、不意に80年代のシールを観ちゃったら、もう涙が出るほど良いんですよね(笑 あの感覚は一体何なんでしょうねぇ? 一生僕たちの年代に付きまとう現象なのかな? Zineenさんはこういう事ってあります?」

Z「ありますよ。僕は逆に80年代〜90年代の駄玩具について調べていて、だいたい当時のシールだけで300種類ぐらいのラインナップが発売されてるんですよね。これにカード、ガチャガチャ(ゴム人形)や、ファミコン、なども含めると莫大な数のオモチャが短期間に発売されていたわけです」

キ「残らなかったもの、もありますしね」

Z「シールやガチャのサイクルが約2ヶ月で入れ替わるわけで、さらにネットがないから情報が手に入らない。しかも当時はコンビニがないので酒屋か駄菓子屋かスーパーにしか売ってないという状況。シールなんか自分の町と隣町で入っている弾が違ったりしてましたから。小学生とかがこれを自分の足で探してコレクションしていったのですから思い入れが強いはずですよ。シールやガチャは安価だからよいですが、ファミコンなんて高額でしたからね。買ってクソゲーだったりしたら発狂ものです(笑)」

キ「『バンゲリングベイ』とかね(笑)。どうやって動かすんだよこれ! みたいな」

Z「昔は規制が整ってないため子供にも売り方が厳しかったですから。人気のファミコンソフトはクソゲーソフトと抱き合わせでしか売ってくれないし、裏技攻略雑誌なんかも、一つだけウソがありますとか書いてる始末。真実は自分で確かめるしかないわけです。例えば消しゴム人形で『怪奇マリオ』ってあるんですが、幼少期は普通のマリオだと思って買ってましたから。するとある日、気がつくんですよ。「このマリオ顔が変だぞ!」ってね。マリオもピーチ姫も顔がゾンビなんです。このような発見が毎日のようにある。語ればきりがないですが、当時の駄玩具はリアルな宝探しなんですよ。それに価値があるかどうかではなく、自分にとって最高だから探してコレクションしてたし、コンプなんて情報ないからムリなんですよね。そもそも全何種かも謎ですし。昔のカオスな流れが今もなおヴィンテージとして残っているわけですが、全体像は計り知れない」

キ「我々、考古学者ですからね、言ってみたら」

Z「80年代当時は、これを20〜100円で子供が楽しめたわけですから、やはりボーナスステージといえるでしょう。僕は、それを再現したいのです」

キ「凄いですよねぇ。そうそう。考古学、学問、研究……と言えばZineenさんはシールの素材、さらには特殊なインク等の印刷についてまで、シールのありとあらゆることを研究し、かつ、実践しています。もともと研究者気質だったりしたのでしょうか?」

Z「分析したり多角的に物事を見るのは好きですよね。気になると、ずっと調べてしまうので、普段インターネットは封印するようにしてるぐらいですから(笑)」

キ「凄い。僕は最近、インターネットよりも本で知識を得る事にしているんです。皆が簡単に知る事が出来る情報は最早ベーシックな物でしかないので。それよりも凄いのは、実践で知識を得る事だと思います。研究中に面白い発見をしたエピソード等ありましたら、教えてください」

Z「そうですね、シールもゴム人形もそうですがハンドメイドで、なおかつ値段設定や売り方を当時に近づけて80年代の世界観を表現するためには、研究するしかないんですよね」

キ「企業努力ですね」

Z「まず材料がそろわないし、機械も販売停止でそろわないから、改造しないといけない。しかも手法が一つだけだと使えなくなった場合の代案がきかないから複数パターンを開発しないといけません。この開発資金が1番かかりますね。大量に失敗がでますから。シールだと白インクが大変で、最近になって白インクは下地素材によって発色に違いがあることがわかりまして、それを解決するには素材を見直さないといけなくなり、ずっと研究していましたね」

キ「コアだな嬉しいなぁ〜そういうお話」

Z「特殊なシールを作る技術も習得しまして、レンチキュラー(左右で違う絵柄が見れる仕組み)やホログラム、金箔押し、シルク印刷などもハンドメイドで可能ですが材料費と手間がかかるので、安価に売るのが難しい」

キ「一人印刷工場だ(笑」

Z「キラシールは、ノーマルシールの5〜10倍の原価と手間がかかりますから。特殊素材(レンチキュラー、ホログラム、金箔押しなど)は、これのさらに倍以上はかかりますし。でも研究したことにより、そういう特殊なシールもハンドメイドで作る事は可能になったので、全体のバランスみながら挑戦していきたいなとは思っています」

キ「それを聞いて、これからがますます楽しみになってきました。さて、『1周年記念作品』には、今後のご活動を示すようなシールが多数封入されていました。一つずつ解説いただけるでしょうか? 先ずは『三丁目のニャンコ』ですが、これは『快怪魔界』のような作品ですね。そして猫だけのモチーフというのも面白いです。このキャラクターが生まれたキッカケを教えてください」

Z「80年代は『なめ猫』『子猫物語』『うちのタマ知りませんか』『おニャン子』など猫ブームでもあり、そこに『快怪魔界』の表現手法を組み合わせオマージュしてみたわけです。『快怪魔界』って組み合わせると地図になる発想は良いのですが、キャラがヒドイ。例えば「緑町の無色の竹内さん(たけうち じろう)」ってシールがあり、2枚目の正体が「酒乱妖怪・アルチューケッキ」ですからね。これ全国の竹内さん怒りますよ(笑)」

キ「(笑)僕はあれを、子供の視点で見た大人の姿なのではないかという切り口で、好意的に受け取っています」

Z「ああいったヒドさを違う表現で出すには、猫かなと。例えば『ノラ・ニャンコ』ってシールがあるのですが、裏書きに『去勢してないオスのノラ猫』と説明書きがされてて、絵柄を見るとベルトに2個のキ○タマが出てる。発情期の猫なわけですよ(笑)」

キ「あ、本当だ! どいひー!!www」

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Z「見方や解釈は3通りできますよね。一つは、かわいい猫シール。一つは、遊び心満載のキン○マ出てるシール。一つは、社会問題として野良猫を表現したシール。深くも考えられるし、軽くも考えられる。そういう表現を僕はシールにとりいれているわけです。しかも『快怪魔界』のヒドイ箇所もオマージュしている。インタビューでキンタ○を連呼してる時点でヒドイけれど、きっと全国の竹内さんには怒られませんよ(笑)」

キ「途中から僕を表す左の『キ』も読者はキ○タマの『キ』と思っちゃってるんじゃないかな(笑。いつ頃発売になられるご予定ですか?」

Z「発売は2016年です。2月過ぎには発売できるかなと思います。駄菓子屋風の引き物にしています。1枚50円の30袋が束という挑戦で、全キャラにノーマルと色違いキラがあるパターンです」

キ「深さと軽さはとても大事な事ですよね。かっこいいものをかっこよく作ってかっこいいと言ってもらうのは、実は表現の中では簡単な方じゃないのかなって思うんです。どこかしらヌケた物を何か気になる物にしていく事がどんなに大変で難しいか。いつも考えてしまいます。続いてはヌケの極地? 『パチギーク』です。80年代のシール文化のダークサイドであるパチシールですが、ご自分で作ってしまう、というが面白いですね。これはやはり、80年代物としては外せないモチーフだったのでしょうか?」

Z「パチも80年代〜90年代における裏文化で、映画館の似てない看板絵とか、駄菓子屋とかテキ屋のわけわからない中途半端な絵とか存在してましたよね」

キ「はい」

Z「これは不思議なもので、いかにパチ絵風にするか悩みました。はじめは利き手と逆の左手で描いてみたのですが線がブレるだけで、雰囲気がパチにはならないのです。続いて『オトギーク』をトレースして顔だけ変えてみたのですが、これも違うかなと思いヤメまして、パチ絵のタッチを研究することにしたのです」

キ「やべえ面白くなって来たゾ!」

Z「パチ絵も様々で、やはりデッサンが微妙な感じを出すのが大変で、似せすぎると『オトギーク』と変わらなくなるし、遠すぎるとパチだとわからなくなりますからね。例えば80年代パチで本物をカラーコピーしただけのとかあるじゃないですか。あれは何の努力もみられませんが、わざわざ描きおろしたパチ絵は、似てない努力というか気迫があるんですよ。トレースが違うと感じたのは、元絵をなぞっただけでカラーコピーのパチに近い。つまり本物に近すぎるわけです」

キ「所謂下手絵と言われているものありますよね。あれ、独特の見た瞬間ちょっと笑っちゃうような、変な迫力、確かにあります」

Z「上手く説明するの難しいですが、3年前に海外のニュースで、教会にある100年前のキリスト壁画が古すぎてハゲてきたから、80代のお婆さんが善意のつもりで勝手に修復したら……絵が下手すぎて顔が別人に! という事件がありまして」

キ「あ、あったあった!」

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参照元:BBC News, Daily Mail, The Sun(英文), YouTube/josevox


Z「多分こういう人がパチ絵を描いたんじゃないかなと(笑)。おそらく、このノリで描かないといけないなと感じて、パチギークは、下書き無しの、ぶっつけ本番! 筆と絵の具で描きましたから」

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※パチギークは筆で描かれている。

Z「あきらかにツッコミどころ満載のパチ絵って、本物とは違うベクトルなんですよね」

キ「おねだりする孫におじいちゃんが描いてあげた事故物件的なノリがあります。更に言うと、80年代は正規で出てるシールもパチっぽいクオリティだったりして最早訳が分からないww 少し前から『秘伝忍法帳』と『おどろき(ショック)マンシール』の関連について調べていまして、この辺何か分かりましたらまた発表したいなと思っています。販売は『ニャンコ』と同時期ですか?」

Z「発売は2016年です。こちらも駄菓子屋風の引き物にしています。1枚50円の30袋で束ですが、『オトギーク』の1弾と2弾の全キャラをパチにしているため全48枚と多めです」

キ「2016年も目が離せないなぁ〜。最後は『ゾンボール』です。こちらも力を入れていますね。日米同時発売になるそうですが、『ゾンボール』のようなキッチュなホラー造形物は海外で受け入れられる文化がありそうですね?」

Z「日本では正方形シールと長方形カードに絵柄を入れるパターンが主流ですが、海外ではボール形状に造形するパターンという駄玩具文化があるんですよね。海外にはホラーを受け入れる土台がありますが、今の日本だと気持ち悪いものはダメみたいな流れがあり心配でした。実際に『ゾンボール』が気持ち悪すぎて設置NGという店は多くて困りましたし。ただ『ゾンボール』に関しては、100円のガチャガチャで路上にいきなり気持ち悪いキャラクターが置いてあるという演出にこだわりたかったのです。これは子供でも気軽に楽しめるようにしたかったからですね」

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※ガチャ版ゾンボールが路上販売されているインパクト。

キ「このインタビュー後に設置される事が分かって、凄く驚きました!」

Z「今のガチャガチャで、人形とカード(キラシール)とミニブックが付属している豪華さって珍しいですが、80年代だとカードと人形セットとか、怪奇や変なガチャたくさんありましたからね。昔、衝撃的だったのが『本物にしか見えないウ●コ』とかありまして、生々しいウ●コがガチャで買えたんですよ。一応ゴム素材なのですがカラーリングとかリアルで本物のウ●コにしかみえないという。こっちの方が、比べ物にならないくらい気持ち悪いですよね(笑)」

キ「潔癖症の自分には耐えられません。そのリメイクみたいなのが最近また出てたりしてを感じますww」

Z「今回の『ゾンボール』は日米同時発売で日本のガチャガチャは2日で完売。さらに再発売も2日で完売し、再々発売も2日で完売という(汗)。アメリカ版は、ガチャが難しかったので長方形のカードとキラシールとボールのセット販売で、経費の関係でかなり高額設定だったのですがこちらも完売しました」

キ「昨年の忘年会でいただいた超初期型の『ゾンボール』。アレ、もしかしたら超絶レア扱いになってるんじゃないかしら(笑」

Z「日本版『ゾンボール』は、ガチャがある場所が秘密なため『機密文書』という住所のかかれた地図をダウンロードしないと買えない仕組みなんですよね」

キ「サイトに掲載されていましたね」

Z「それか、もしくは偶然路上を通りかかって見つけた人しか買えない。この『機密文書』もゾンビバスターズになってゾンボールを回収する政府通知という設定が書かれていて、現実世界と架空世界が組み合わさる演出をほどこしているのです」

キ「面白い! 今そういう、スマホを使って路上で遊ぶゲームってあるじゃないですか。それをアナログ的手法でやるのって素晴らしいですね!」

Z「『ゾンボール』は、別のゾンビネタ(ゾンビが脳を食すと知識を得て新たな人格として目覚める話)と繋げていく予定でして、まだ構想段階ですが上手く駄玩具と組み合わせてストーリーを作りたいなと思っています」

キ「僕超『ゾンビ』好きなので、凄く楽しみです! 本当に、いろいろ僕たちを楽しませる工夫が随所にあって、めちゃくちゃ来年も楽しみです。今後もご活動・ご活躍を期待しています。2周年に向けての想い、そしてZineenさんに注目している多くのファンの方々にメッセージ等ありましたら是非お願いいたします!」

Z「大人から子供までが楽しめる世界観をモットーに活動しているため、今後も数百種類のラインナップがある80年代の駄玩具を自分なりに再現していく予定です。さらにそこから新しく思いついた表現手法をミックスしていきますので、これからもどうぞよろしくお願いいたします」

キ「そんな訳で、今日のインタビューはZineenさんにお越しいただき……と、いつもならここで閉めるのですが……」

Z「え? どうかしましたか?」

キ「実は今『ステッカー帝国の復讐』というシールを作ってまして、色んなクリエイターズシール作家の方々とコラボをさせていただいてるんですね。是非、Zineenさんにもコラボシールを作っていただきたいな、と思ってまして、いかがでしょう?」

Z「大丈夫ですよ

キ「え!? いいんですか?!」

Z「今作ります。こんな感じでどうでしょう?」

キ「うひゃー! 原稿の関係でさらっと出来てるけど、本当はちゃんと僕をイメージして作ってくれたシールがこれだーーーーーーっ!!」

image7.jpg

Z「『パイプカットマン』。ネタわかる人がどれだけいるかは謎ですが一応コラボということで、こうしました(笑」

キ「元ネタは僕が卓球部でカットマンだったからかな(すっとぼけ)。謎なんですが、何でみんな僕をイメージすると下ネタ寄りになるんでしょう? 全然わからないやww いやー、これは嬉しいな〜」

Z「かなりネタよりなキャラで申し訳ないですが(汗)、可能でしたら1月10日にお客様へ無料で配っていただければなと思います」

キ「ありがとうございます! 何と電撃コラボ決定! 『百鬼夜GO!』で僕のシールをご購入いただいた先着30名様『Zineen特製お年玉シール』を配布いたします(絵柄は選べませんのでご了承ください)! 異世界からのミラクルなパワー受信成功!!!! 本日はどうも、ありがとうございました!!」

Z「こちらこそどうもありがとうございました〜!」

---------- ---------- ----------

今回の結論!

やっぱりZineenさんは凄い方でした!

こういう方を初期から追いかける事が出来た、それが先ず嬉しいと思える程です。1年前からよりパワーアップしていて、2016年もまた、いろいろと僕たちを驚かせてくれるような、そんな展開が待っていそうですね!

そして、突然のコラボシールのお願いにも快く応じていただけまして大感謝です。
コラボ、と言うよりはむしろZineenさん濃度100%のものなので、是非『百鬼夜GO!』当日遊びに来てくださいね!

インタビューに応じて下さったZineenさん本当にありがとうございました!

そんな訳で、
こちらからは以上です。

(今回のインタビューは、実際にお会いした訳ではなく、メールでのやり取りを元に構成しています。読みやすいように会話形式にリライトしてお送りいたしました。また『オトギーク』シールについてなど当ブログにご意見いただいてもお答えできませんのでご了承ください)

posted by きょうきりん at 09:45| Comment(0) | 京希が訊く | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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