発売からだいぶ時間が経過してしまったけど、
のむらしんぼ先生の『コロコロ創刊伝説』第1巻を買って拝読いたしました。
久しぶりに、
「これは発売日に買わなくてはいけない本だ」
と、ある種使命のような、義務のような心持ちでレジに並んだのを覚えています。
僕は世代的に、
『つるピカはげ丸』世代でして、
当然当時のコロコロでリアルタイムで連載を読み、
アニメも多少観ていたように記憶しています。
正直に申し上げますと、
『コロコロ』の中で一番好きな作品、
という事ではなく、
小学生当時から潔癖気味の感性を持っていた僕は、
「つるセコ」というワードに馴染めず、
「落ちぶれて、すまん!」の騎士道精神の方に惹かれていたように思うのですが、
当時友達が自動販売機の下に小銭を落としたのを拾おうとしたのを見た、
通りがかりのおじさんが
「お、今流行りのつるセコか?」
と声をかけてきた事案が発生する等、
幅広く知られ、ブームになっていたのは間違いなかったように記憶しています。
時は流れ、
30数年。
『コロコロアニキ』なる雑誌が売れる時代。
のむら先生の手に寄り
『コロコロ創刊伝説』が始まりました。
これはのむら先生による『まんが道』であり、
昨今の『バクマン!』『重版出来!』に連なる、
漫画家による漫画の裏側を描いた作品でもあります。
さらにそこに、現在ののむら先生の実情が赤裸々に加わり、
エッセイ漫画、と言うより『失踪日記』に近い感覚のヘビーな近況報告がなされるという、
80年代の輝いていた時代から地続きの、
未来の絶望、結末の分かっている漫画になっている、
という構造でもあるんです。
コロコロ創刊当時の、
熱意に溢れ、輝き、成功していたのむら先生の、
その後の人生を僕たちは知ったうえで、
先生の『まんが道』に挑まなければならないのです。
「こんなに輝いていた人の末路が、借金地獄?」
そう思う人も少なくないと思うんです。
でもね、このマンガの新しさは、
そこじゃなくて、
これから先、のむら先生と、読者の人生を巻き込んで、
真の大逆転がある可能性を含んでいる、
というところが凄く斬新なんじゃないかと、僕は思うんです。
漫画単行本で借金を返済するのは、
凄く大変な事で、
あり得ない事かも知れない。
けれども、まったくない可能性じゃない。
もしもそれが完済した暁には、
その事の顛末も漫画として描かれるでしょうし、
それを読者が読んだ時、
単行本を買った読者が読んだ時、
それはもう、漫画を読むという体験だけではなく、
自分がそれに関わったという体感をもってして感動を得られる筈なんです。
こんなに素晴らしい事って、
そうそうないじゃないですか!
実はどの漫画もそうですが、
漫画を買う、
という行為は、
勿論マンガだけじゃなく、
CD何かもそうですね。
商品を買う、という行為は、それを発表する人の
人生に関わるという事なんです。
普段は中々それに気が付きませんが、
『コロコロ創刊伝説』は違います。
ダイレクトにその結果が、今後わかる。
何よりね、
子供の頃、楽しませてくれた人が、
今ちょっと苦しんでるって言うのは、
やっぱちょっと違うんじゃないか、って思うんです。
今大人になった僕らが出来る事、
それは、1冊580円の本を買う事なんです。
こういう風に考えてくれる人が、
一人でも増えたらいいな、
って思って今、これを書いてます。
あなたも、のむら先生の人生に関わってみませんか?
もしかしたらすごい感動が、待ってるかも知れませんよ?
そんな訳で、
こちらからは以上です。